肩|治療のご案内
肩
Shoulder
五十肩(肩関節周囲炎)
肩の代表疾患である五十肩(肩関節周囲炎)は、肩の痛みとともに徐々に動かしづらくなってくる疾患です。
関節包という関節全体を覆っている線維の袋が炎症を起こして縮こまってしまった状態で、主な原因は肩関節を構成する組織の変性と使いすぎだと考えられています。
自然発生することが多いですが、ちょっとした外傷がきっかけになることもあります。
最初は炎症による痛みが主な症状ですが、徐々に炎症が落ち着いて関節が硬くなることで拘縮という状態(凍結肩)になります。
以前から五十肩は自然に治るものといわれ放置されることが多かったのですが、痛みや拘縮がかなり長期にわたって続くことがあるため、拘縮の軽い早い時期から積極的に治療することをお勧めします。
1 検査·診断
レントゲン検査にて関節軟骨のすり減りや骨の棘(とげ)、石灰の沈着がないかなどを確認します。挙上した状態での撮影で関節の動きの硬さをみます。エコー検査にて腱板断裂がないかどうかもチェックします。
2 治療
痛みが強く夜間疼いたりする場合は、関節内への抗炎症剤(ステロイド)の注入を行います。可動域制限が少ない痛みだけの早期段階では、注射のみで軽快することもあります。
その後は、可動域制限に対して理学療法士によるリハビリを行っていきながら、ヒアルロン酸を注入したり、筋肉のつっぱりが強い部位にハイドロ(筋膜)リリース注射をしたりしていきます。
治療によって五十肩は徐々に改善していくことがほとんどですが、難治性の場合はサイレントマニプレーションという徒手的な授動術を行います。
サイレントマニプレーション
神経ブロックで肩から腕全体に麻酔をかけて痛みを感じない状態にした上で、拘縮した肩をゆっくりと動かしていくことによって、硬くなった関節包を破断させて肩の拘縮を解除する方法です。
所要時間は、手技自体は5分程度ですが、麻酔と処置後の経過観察時間を含めると30分程度です。
麻酔によって術中の痛みはありませんが、2〜3時間で麻酔が切れますので、術後は早めに鎮痛剤を飲んでいただきます。
再拘縮を起こさないために、しばらくリハビリが必要となります。
ご予約が必要となりますのでまずは受診された上でご相談ください。
肩腱板断裂
肩の腱板は加齢にともなって変性し擦り切れていきます。
いつの間にか擦り切れていく場合は徐々に痛みがでてきますが、転倒などによって急に断裂した場合は強い痛みがでて挙上困難となります。
おもな症状は肩を動かしたときの痛みですが、炎症が強いと夜間疼いて眠れないといった症状もでます。
腱板が切れていると肩を動かせなくなると思われるかもしれませんが、他の残った腱板や筋肉が代償するため、肩の動きは比較的保たれることが多いです。
1 検査·診断
レントゲン検査にて軟骨のすり減りや骨の棘などの変形をチェックします。
エコー検査にて断裂の有無を調べます。
エコー検査にて断裂があれば、より詳しく評価するためにMRI検査を行います。
2 治療
転倒などで急に発症した場合は痛みが強いですので炎症が落ち着くまで安静にします。
痛みが強く夜間も疼いたりする場合は抗炎症剤(ステロイド)の注入を行い、そうでなければヒアルロン酸の注入を行っていきます。
理学療法(運動器リハビリ)を行って機能回復を図っていきます。
一度損傷した腱板は元どおりには戻りませんが、日常生活動作に支障のない程度に機能が保たれることが多く、必ずしも手術になるわけではありません。実際に手術が必要な方は30%程度です。
どうしても痛みが強く、筋力低下や可動域制限といった機能障害がある場合は鏡視下腱板修復術を行います。
肩関節脱臼
肩関節はその構造から可動域が広いかわりに不安定な関節のため、スポーツや転倒などで脱臼しやすい関節です。
特にラグビーや柔道などのコンタクトスポーツ、スノーボードといった転倒して手をつきやすい競技などに多くみられます。
脱臼した場合はできるだけ早く整復する必要があります。
一度脱臼すると、関節唇という関節を安定化させる線維組織が損傷してしまうため、肩の不安定性が残ってしまうことがあります。
特に若年者は(亜)脱臼が再発する可能性が高く、再脱臼をくり返す場合は手術が必要となります。
1 検査·診断
レントゲン検査にて脱臼だけでなく骨折の有無も確認します。
MRI検査にて、関節唇損傷や腱板断裂がないか確認します。
関節唇損傷をより詳しくみるためには関節造影によるMRI検査が必要となります。
2 治療
初めての脱臼の場合は、脱臼整復をした後、外旋装具による固定を3〜4週間行います。
装具を外した後は可動域訓練や腱板の筋力強化訓練などのリハビリを行い、可動域制限がなく、不安定感や痛みがなければスポーツに復帰します。
痛みや不安定感が残ったり、脱臼・亜脱臼を2回以上くり返す場合には、関節鏡視下に損傷した関節唇を修復する手術が必要となります。
手術を行った場合のスポーツ復帰は約6ヶ月程度となります。